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日本画の制作 私は花鳥や動物とその空間表現を模索するために日本画を始めました。
ですから私にとっての 日本画とは、日本的な美を模索し、体得するための手段の一つです。
その模索の中で習得してきたことが他の分野の方の 創造のヒントになればいいと思い、ここに日本画の製作の一つの方法と展開、構想の方法のほんの一部を公開します。
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写生
真夏の植物園の蓮池で隅っこのほうに咲いている紅蓮の花をみつけた。今回はこの 花を写生して作品をつくろうと思います。
画用紙のサイズはF4サイズ。鉛筆で形態を写し、色鉛筆で花と空間の実感をつかめるまで落ち着いて写生を行います。
岩絵の具のざらっとした落ち着きの仕上がりを想定して、写生の段階で表情にざらつきと落ち着きの出る 色鉛筆を用いて写生を行います。
花を通して蓮池の実感とリアルさを凝縮する表現を行おうと思いますので、象徴的に蓮の花を中心に添えます。 |
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下図を写す
写生の仕上がった所でトレーシングペーパーのような半透明で強い紙を下絵(今回はこの写生) の上に重ね、鉛筆で写し取ります。
今回は写生をそのまま用いて下絵としますが、本来はこの下絵を構想するプロセス自体 が作家それぞれの個性の源になります。今回は省略します。 |
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下図を写す?A
トレーシングペーパーを裏返して鉛筆でその線を写し取るために鉛筆をこすります。 木炭でこすってもカーボン紙をひいて写しても良いですが、絵の具をはじかない素材を選ぶようにしましょう。(変色も不可)
そのあと、本紙(今回は鳥の子紙)に重ね、赤ボールペンか赤鉛筆で線をなぞり、下絵を写しとります。 |
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下塗り
本紙に写し取った線を墨で骨描きして、胡粉を塗り、空間の彩色を水干絵の具で行います。
部屋に飾る絵を描こうと思うので、落ち着きと安らぎ、そして品のある空間を求めてみた。
写真ではもう空間の岩絵の具での地塗りは完成して、花の下塗りを行っている。 花の下塗りは胡粉とコチニールで行っている。 |
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仕上げ 完成
花をざっくりと仕上げたいので、岩桃と岩胡粉をたっぷりと塗り、赤みのアクセントを 岩絵の具を使って仕上げてみる。
蓮の花に仏様の姿を重ねられたり、蓮の花の上に仏様が座られるという説話もある。
原始仏教の時代には仏像に代わる仏様の姿を象徴的に表現する手段であったらしい。
一枚でもいいから本物の蓮の花びらをリアルにかけるようになりたいとおもいつつここで筆を一旦おきます。
こんなふうに部屋に飾る絵を創造していきます。
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